防衛だ!身を守れ!

 

今週からだいぶ色々なものを手放して生活する。

ただその代わりに大きな山場を迎えそうだ。

数日後の山場を想像しながら帰路に着く。

 

帰路に着く、と言っても最近は自分の家に帰ったり、他人の家に帰ったり、ふらふらしている。今日も自分の家には帰っていない。

多分、今の私の心の中の決まらなさが行動にも出ているのだ。

帰るところが決まっていない。同じところに帰るべきなのに。

 

帰る途中、

「私は根性がないから逃げる道を選ぶんですよ」

おちゃらけた風に言うと

「根性がないんじゃなくて敏感で傷つきやすくて、合わなかっただけじゃないですかね」

とこれまた同じ調子で返ってきた。

そんな返事が来るなんて思っていなかったので、素に戻って

「そうなんですかね」

と返した。彼は私と同じ調子で

「きっとそうですよ」

と返してくれた。

 

こう返してもらえることが、とてもありがたいことなのだと思える感性を持っていて良かった。

そしてこんな返しができる、同じように傷つきやすいこの人が、この世界で苦しまずに何とか生きてほしいと思う。

この世界は変な人が多い。頭の凝り固まった柔軟性のない人、他人の気持ちをわかったように語る何もわかっていない人、想像力の欠けた人。そんな人ばかりいる世界に、敏感な人は堪えられないと思う。こちらが傷ついている時に、相手はその傷に気付かず塩を塗りたくってくるのだから。

 

塩を塗りたくってくる人は大体「止めて」と言っても上手く伝わらないので、言っても尚塗ってくる。もう岩塩投げて来るとまで言ってもいい。

自分が痛みを我慢してまでそんな岩塩人(がんえんちゅ)の相手をする必要は全くない。時間と体力の無駄だ。

 

私の大切な人がもし今、岩塩人(がんえんちゅ)の餌食になっているとしたら、みっともないと感じるかもしれないけれど逃げてほしい。

 

逃げは悪いことではない。自らの身を守る、防衛だと私は思っている。

 

 

 

 

 

ちちんぷいぷい忘れろ!

 

「始まってしまった」なんて言っていた今週ももう終盤。まだあと2日を残し、これからのことをあれやこれやと考えている。

 

明日明後日の予定や食べるもののことから、今後の仕事や人付き合い、家族のこと結婚や妊娠出産、子育ての事まで、今から考えても仕方のないことまでぐるぐるぐるぐると頭を使ってしまう。

 

昨日、一番近くで指導してくださっている人に

「辞めたいです」

と伝えた。これまた泣きながら。

そうなるだろうなとは思っていたが、案の定止められた。明日改めて話し合いだ。

 

泣きたいときには出ない涙が、絶対に泣きたくない場面でボロボロと溢れるのはなぜだろう。

いつも「あー今日泣きたい気分だな」って日には全く涙は出ない。

なのにボーっと考え事をしているとき、何か大事なことを人に伝えるとき、私は涙が出やすい。

涙のコントロールはできないのだろうか。

 

できるだけ泣いている姿、もっと言えば泣いている時の顔は見られたくない。私は元々自分の顔がそんなに好きではないのだが、泣いている顔は「そんなに」とか言うレベルではなく好きではなくなる。ぐちゃぐちゃだ。綺麗に涙を流す女優さんや俳優さんに何度憧れたことか。

 

そんなぐちゃぐちゃ顔を数人に披露してしまった今週はだいぶ疲れた。みんなの頭からあの記憶を消してやりたい。しんどい。思い出してまたしんどくなる。

 

あと2日、どうにか乗り越えたい。

 

 

指先冷たい

 

始まってしまった、月曜日。

GWはあんなに暖かかったのに、今日はなんだか肌寒い。

上着がもう一枚必要だったかな、なんて考えながら駅までの道を歩く。

 

電車に乗って窓に映った自分と目が合う。

昨日の寝不足で目の下を黒くした、妖怪アンテナのような寝癖がついている眠そうな顔をした女。

いつものことながらすっぴんなので華やかさなんてものはない。

 

電車に揺られているときに一通の連絡がきた。

「ごめん、寝坊した( ; ; )遅刻する( ; ; )」

もう見慣れた連絡に

「わかった〜」

と返す。

 

到着すると1人でポツポツ用意をし、時間になるまで自分のデスクでぼーっとしていた。まだ誰も来ていない。

今何者かが侵入してきて襲われたら私1人だけ被害被れるな、いきなり外から大きな鳥が窓ガラスを割って入ってきたらどう戦おう、もし今、急病で倒れたらどうなるんだろう、1人の時は現実的な妄想も非現実的な妄想も捗る。

 

そんなくだらない妄想をぐるぐると巡らせていると時間になった。トボトボと大量の紙を持って移動する。

 

やっぱり今日は肌寒い。

気温が低いと気持ちが落ち込んでいるのも激しくなるような気がする。

 

あー、やっぱりしんどいな。何もかもやめてしまいたい。

嫌だ嫌だと考えながら、まだ人の少ない部屋でゆっくり今日の準備を進めていった。

 

 

強い女

 

 私は超絶強い女のようだ。

 自分の3倍以上ある男を投げ倒しまくり、銃を乱射する。撃った弾は全て敵に当たり、前へ前へと進んでいく。

 

 進んでいる途中、横から男にタックルをされド派手に倒れた。

 男と私は砂埃の舞う地面でゴロゴロと掴み合った。

 

 男の上に馬乗りになり額に銃を構えた。

「その銃は弾切れだろ?」

 男が笑いながら言う。しかし私は怯まなかった。

「弾が無くなったなら詰めればいいんだよ」

 そう言って私は銃口を男の頭の横、地面をゴリゴリ、ゴリゴリ、と削り、銃口に少し砂が詰まる毎に空撃ちした。すると4〜5発目で砂が銃弾に変化した。

 男はそんな馬鹿な話があるか、と言わんばかりに目を見開き、私の下から逃れようとした。

 だが私に頭を掴まれ、顎下を撃ち抜かれ、力尽きた。

 私は満足した表情で次の場所へ向かう。

 

 次に着いた場所は大きな調理場だった。しかしキッチンに乗っているのは私の小学生の時の友人。彼女は焼豚のように、太い紐で身体を縛られ、虚ろな目で床を眺めていた。

 ここのコック長のような男に

「この子を内緒で調理してください。誰にも内緒でね。」

と言われた。

 私は特別仲良くもなかった彼女を大きな鍋に入れ、醤油やみりん、砂糖などの調味料を加えて煮込んだ。

 しばらく蓋をして煮込んでいると赤黒い液体がグツグツと鍋から沸き立ってきた。

 煮込みすぎたか、と焦りながら蓋を開けると彼女の肉は全て溶け、骨だけが残ってしまっていた。

 私は自分が友人を生きたまま鍋に放り込んだことよりも、調理を失敗したことでどんな罰を食らわせられるのかと青ざめた。

 

 私はなぜかコック長にバレないように彼女の骨を無くなるまでしゃぶりつくし、なかった事にしようと頑張った。

 しかし隠せるはずもなくコック長にバレた。

「内緒は守れたんだね」

 

 そう言われたところで目が覚めた。

 これは今日眠っている間に見た夢だ。

 

 なんとも気色の悪い夢だった。

 今日はいい夢が見たい。

 

 

 

課題

 私には課題が多い。勉学のことについても、自分自身についても。

 まだ出されたレポートをやっていない、資料も作っていない、提出書類にも手をつけていない。もう色々出されすぎて、溜めすぎて、何から手をつけたらいいのかわからない。

 

 自分自身については昔からの蓄積で沢山溜まっている。

 もう何から済ませたらいいかなんて次元じゃない。私には直さなけらばいけないところが山積みだ。

 一つのことに集中できない、傷つきやすい、被害妄想が激しい、そのくせ自分をすぐに正当化する。

 

 私は一度やると決めたことを続けられた試しがない。毎日できている事なんて歯磨きと風呂くらいだ。勉強も趣味も、毎日手を付けたいのに、やろうとするとどうにも体が重くなる。本当は何もやりたくないんだと思う。やりたくないのに、やらないのに賢い人や自分の趣味を上手くやっている人を羨む。私は自分を本当に滑稽な人間だと思っている。こんな自分の一面が嫌いだ。

 

 被害妄想が激しく傷つきやすい。めんどくさい奴の代表だ。話しているときに「今悪く思われているんじゃないか」と考えてしまい失敗する。そして凹む。勝手に想像して勝手に行動して、勝手に落ち込むのだ。誰もどうしようもない。私がどうにかしなければならないのだ。わかっている。わかっているが他者から言われるとどうにも腹が立つ。指摘されて図星だと苛つくのだ。これまた滑稽。めんどくさい。

 

 そんなめんどくさい自分さえも「私だけが悪いわけじゃない」と考え出してしまうのだ。

 あー哀れだ。こんな考えする奴がなぜ周りから好かれるのか。好かれているわけでは無いのかもしれない。ただみんな合わせてくれているだけ。それはそれで恵まれている。優しい人たちに囲まれすぎだ。

 

 周りの優しさに甘えすぎてはいけない。私は私の課題を何とかしないと生きていけなくなるぞ。ちゃんとしろ。一つずつ片付けるんだ。散らかり過ぎているからな。少しは綺麗にしたほうがいい。

 次いでに部屋も片付けろ。書類で足の踏み場が無い。困るのは私だ。そろそろちゃんとしろ。2週間以内に何とかしよう。何かあるわけではないが、なんとなく2週間だ。それまでに少しは、ほんの少しでいいから全てにおいてなんとかしよう。きっとできる。今までもできてきたんだから。

 大丈夫だ。

 

 

先輩

新しい月。新しい出会いと新しい作業、人の名前と顔を覚えるのが苦手な私にとって、忙しくなりそうな月が始まった。



 先輩になったという事実が苦しい。



 私は何も出来ないのだから。ただ1年早く生まれただけ、ただ1年早くこの場に居ただけ。たったそれだけなのだから後輩が出来ても私は正直嬉しくない。



 幸いにも私はよく周りから好かれる。その「好かれる」という状況は社交辞令なのか、本心なのかわからず悩むこともあるが、今のところ周りから好かれていて損はしていない。だからそれで良かった。なのにまた気を遣わなければいけない相手がわりと急に増えた。

「こんにちは」

と挨拶をするとキラキラした笑顔、高い声で

「こんにちは!お名前聞いていいですか?」

と問われた。あー、眩しい、いまの私には目も開けられないくらいに眩しい。

問われた内容に返すとまたキラキラ笑顔で

「よろしくお願いします!」

と返された。繕ったような不格好な笑顔で返す。

「よろしくお願いします」



 愛想が悪くなかっただろうか、変なことは言ってないだろうか、あー、もう名前忘れたや、などと考えながら帰路に着いた。



 家に帰ってもなにもしたくなかった。久しぶりに身体が重たい、何もする気になれない。明日は午前休みだし、顔だけ洗って寝ることにした。朝シャンという選択肢は私の人生を少し楽にしてくれた入浴方法だ。風呂は夜!なんて法律がなくて良かった。ありがとう国。



 次の日しっかり朝からシャワーを浴びた。やっぱり朝から湯を浴びるのは気持ちがいい。心なしか心身共にスッキリした感じがする。



 午後からの予定に合わせ身支度をする。今日も死にたいと考えながら生きる。毎日そうだ。きっと明日も明後日も、私は死にたがって生きるのだ。いつか生きたいと願い、生きてみたい。



ここまで読んでくれた方、ありがとう。

では、また。