自然ライブ

ここ数日は色んな人と会って遊んでいる。

遊んでいると言ってもお酒を飲んでただ駄弁るだけの遊びが多い。

これはこれで楽しい。涼しい部屋で好きな食べ物を食べて、少しアルコールを入れて顔を赤らめながら、普段より大きな声で会話する。「呑みに行く」ってこういうことかあとまだまだ青臭いなりに考える。

 

そんなことを考えながら、日差しがジリジリしていることに気づいておらず外を駆け回っていた子どもの頃を思い出す。あの頃は汗をかくことを嫌がっていなかった気がする。今では汗で服が張り付いたり、化粧が落ちたり、前髪が乱れたり、汗をかくことでいい思いをしていない。

 

夏の暑さと湿気に恨むようになってから、汗をかくことに嫌悪しかなかった私だが、そんな私でも最近気持ちよく汗をかけるタイミングがあったのだ。

 

 

数ヶ月ぶりに会う先輩と晩御飯を食べに行った。2人ともお酒は飲まず、定食を食べた。食後のデザートを食べ店を出たのが21時頃だった。2人とも翌日は休みだったこともあり、その後もしばらく一緒に過ごすことになった。しかし金欠の2人。2軒目に行くことも考えたが、ここ最近のことを話しながら散歩でもしよう、という話になった。

 

少し賑わう路地を抜け、ほとんど人も車も通らないような川沿いを歩き続けた。特別暑い夜ではなかったものの、歩いているとやはり背中にじんわりと汗が湧いてきた。だが川沿いということもあってか、なんだか涼しい。河川敷の雑草が揺れるのがまた風を感じた。

雷が遠くで光るのも時折見えた。雷が光るたび「わ!」と言う先輩。何度目かの雷を見た後「ライブ見てるみたい!いえーい!」と右腕を空に突き上げる先輩。なんだか楽しくなって私も「いえーい!」と右腕を上げた。

 

素面の状態で、先輩と自然に向けて拳を突き上げる日になるとは思ってもなかった。汗もかいた。正直あまりお酒の入っていない時には話しにくい話もした。だけど間違いなく楽しかったし、なんだかここ最近の遊びの中で1番笑っていたような気もする。

 

そして私は先輩のことをまだまだ何も知らないが、尊敬できる人に出会えた気もした。

 

彼女は植物が大好きらしい。一輪の花を見てニコニコの笑顔で「可愛い」と言う。「お花好きなんですね」と言うと「好きというか尊敬する。すぐに枯れてしまうのに1人でこんなに一生懸命に咲いて、沢山の人に影響与えるの。うちにはできひんなあ。すごいって心の底から思う。」と先輩は真剣に語った。

花を綺麗だと思うことはあった。だがそう思うだけで他に想像力を広げることなんてなかった。だから先輩の「想像力」と、「何かを尊敬する気持ち」に私は尊敬した。

 

先輩は「うちにはできひんなあ」と語りましたが、少なくともここに1人、あなたに影響されている人間がいます。あまりご自分を卑下なさらないでくださいね。